日本人は古いものそれも苔むしたような古く最もらしいものを好みありがたがります。
僕にもこんな経験があります。中宮寺の国宝弥勒菩薩を見に行ったとき、「なぁんだぁ、こんな金属でできた仏像、ついさっき作ったみたいじゃんかぁ。」と受け付けませんでした。薬師寺の日光月光菩薩しかり。とにかく煤けていて、金箔の破片のようなものがわずかに付いているようなもの、そんながありがたがられるわけです。
尺八の世界も似たようなところがありまして・・・・・
指孔にホコリが溜まるんです。長年の間にそれが積もり積もって張り付いちゃってる。
掃除すりゃあいいのもんなのに、「このゴミが微妙な音程感覚を保ってるんだよ。」なんて最もらしく言ったり。息を吹きかける場所を「歌口」といいますが、そこにもツバが乾燥するんだか、食べたもののカスがくっついちゃうんだか、とにかく古ーくから尺八をやっていて長年愛用して大ぃーー事にしている方の尺八の歌口はたいがいといっていいほど、「白いカビカビしたもの」がこびりついています。
知り合いの製管師(尺八を作る人)に聞いた、嘘のようなほんとの話。
古ーい尺八の修理を頼まれて直しました。とっても大切にしているらしく艶が出て「黒光り」しています。
見るとやはり歌口は歯くそでカビカビ、指孔はホコリだらけ。これではせっかくの尺八もかわいそうだ、ついでなのできれいに削って新品同様にしてあげよう。
そう思ったその製管師、きれーにピカピカにして依頼主のもとへ。
「どおです!きれいになったでしょう。修理ついでに掃除してピカピカに磨いておきました。」
その製管師、依頼主にこっぴどく怒られたそうです。