さて、タンジャブールに行く前に。
マドラスで、ホテルから一人で海岸まで遊びに行ったんです。
誰もいない海。
ああ、この先に日本があるんだなぁ、なんて感傷に浸りながら、しばしぼーっと。
さて、そろそろホテルに戻るか。
ん?そうだ、どうやって戻ろう?
行きはホテルの前にいっぱいたむろしていたリクシャーを使いました。
まあ、流しのリクシャーでも捕まえるか。
なかなか来ない… はたして流しなんか捕まえられるものなのか…
来た!
さっそく捕まえて、ホッした気分でホテルまで。
さて、お会計。メーターに出ていた料金にちょいとプラスして、さっさと降りようとしたところ。。。
そのリクシャーの運転手(14・5歳だったと思います、多分。)、ものすごい形相で何やらまくし立てます。
なんのことかさっぱり分からずにいると、ホテル前にたむろしていた他のリクシャーの運転手仲間までが僕を取り巻きます。
どうやら支払いが少ないということらしいのです。メーターどおりに払ったのに。
ちょっと身の危険を感じたので、いくら欲しいのだ?と身振りで聞くとかなり法外な値段。ここで争っても危険だと思い、金を向こうの方へ放り投げ、逃げるようにしてホテル内へ。
恐かったぁ。
インドのどの土地でもそうでしたが、いわゆる「乞食」(差別用語ですかねぇ。そういうつもりはありませんのでこの言葉を使います。)がお金をねだってくるのです。それもいかにも栄養の足りない、または病気であろう「赤ん坊」を抱いた女性や、ぼろをまとった子供が旅行者の腕を触って指でツンツンと引っかけて「ねえねえ」という感じでねだってくるのです。
正直、申し訳ないけれども「不潔」な感じがしました。
それと、いろいろな国に行きましたが、インドの紙幣が最も汚かった。
よれよれぼろぼろべたべた、でした。
さまざまな人の手に渡った紙幣をそのまま使っているためで、お金は汚いもの(そのものズバリの意味での汚い)というのを実感しました。
話によると彼女らには元締めがいてその上前をはねているとか。
それもこれも「インド」なのだなぁ、と。
もう一つ、マドラスでのこと。
宿泊は、かなりいいホテルでした。(調べたらシェラトンでした。)
先にも書きましたが、山口先生、海外に行くときにはいつも寝酒のために成田でウイスキーを買っていくんです。サントリーの「山崎」。その後、僕も真似をして海外に行くときは必ず。僕はI・W ハーパーの12年、とっても綺麗な四角いボトルなんですが、重いんですよこれがまた。と、そんなことはどうでもいいんですが、で、例によって先生、買ったわけです。もちろん僕が持つわけですよ、重いんです。と、これも愚痴ってどうする!話がすすまん!
デリーからマドラスへと、少し量の減った「山崎」様を無事運んだわけです。
マドラスの一日目か二日目の晩、先生の部屋で「山崎」様のお相伴にあずかりました。
その翌日は確か一日演奏で部屋を空けていたと思います。その晩のこと。
「徳丸君さぁ、ちょっと部屋へ来てみて。」
「はい。 ??」
「これさぁ、なんかおかしいと思わない?」
と、テーブルの上に鎮座まします「山崎」様を指さします。
「??」
「色がさぁ。それと量。」
「…そういえば何となく色が濃いような?それと昨日より量が増えてますね?」
「やっぱりそう思う?味も変なんだぁ。」
あきらかに変でした。
なのに先生、味見したの!?(吹き出しそうになりました。笑。)
早速、このツアーの代表さんに話して、事情をホテルに言ってもらうことに。
翌日、ホテルのお偉いさんが謝りに来ました。従業員の誰かが、高級なウイスキーだったので手を出したのだろう、ということ。飲んだ(盗んだ?)ことがバレないように、何か他のものを注ぎ足したのだろう。今後はそのようなことのないように注意する、ということで一件落着。(おいおい!落着なんかしてないぞぃ!)
インド人独特の首を横に振る、イエスともノーとも分からない身振りでニコニコと謝罪を済ませたお偉いさん、さっさと引き取ってしまい、落着はしたものの代わりの「物」が出てくるはずもなく、さーてっと、どうしよう……
残念そうに「山崎」様をながめる先生。
「こんな高級ホテルでも、こんなことがあるんですねぇ。びっくりですね、気を付けましょう。」
「そうだねぇ。どうしよう?」
「…??」
「これ。」
先生、この期に及んでまだ未練があるのかぁ!!
「駄目ですよ!捨てます!すぐに!」
「そうだよねぇ。。……」
「すぐに町に行って新しいの買ってきますから。ちょっとお待ち下さい。」
(まったく!!!)
ということで、私一人、近くに「高級ウイスキー」を求めて買い物に出かけることに。
今でこそ、どのように変わっているかは分かりませんが、その頃はほんとに何もない。
スーパーマーケットなんてとんでもない!
表通りからちょっと脇にそれれば、舗装もされてないボコボコ道。
酒屋を求めて、あてもなくしばらく彷徨い歩きました。
しかし私、酒に対する嗅覚はすぐれているのか、ありましたよ、ありました!
トタン屋根の掘っ建て小屋にカウンターがあって、一杯出してくれるようなお店が。明らかに「酒」が置いてある!
カウンターのおっちゃんに、
「お酒ある?ウイスキー、高級なやつ。」
「もっちろん、ありますよ!こちらをご覧あれ!」
指さされた棚を見ると訳のわからん酒が何種類か。僕はせめてJ&Bとかホワイトホースぐらい置いてあるのかと思ったのに。。。昔はイギリスの植民地だったんでしょうが!(と、その時思っただけで、この言葉に大意はありません。)
これ以上探しても他に見つかる当てはなさそうなので、まあいいや。
「一番上等なのを一本。」
「へぃぃー。」
ということで、インド産「高級ウイスキー」をゲット!
先生にご進呈させていただいたのでした。
さて、その晩。
「徳丸君、一緒に飲まない?」
一瞬、不安がよぎりましたが断る理由が見つからない。
「は、はいぃ。。。」
もちろん当然、「高級ウイスキー」の試飲会。
ゴクっ。
二人とも笑いを押し殺したような、複雑な表情。
「んんっ、なかなかいける… ねぇ?」
「そっ、そうですねぇ。。。」
口の中には、変な薬を飲んだような味が残り。。。
それ以上、会話が進まない師弟でした。
じゃんじゃん。
つづく。